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<対談インタビュー>カマシ・ワシントン×BIGYUKI、LAとNYの音楽家が語る



カマシ・ワシントン インタビュー

 今年も8月後半から9月いっぱいにかけて行われた「AUTUMN JAZZ JAMBOREE」の中でも、前半のハイライトとして大きな盛り上がりをみせたのが新世代ジャズ台頭の旗手として世界的な人気を高め続けるカマシ・ワシントンの2days公演。今回はNYを拠点に活躍する日本人キーボード奏者のBIGYUKIを迎えたスペシャルな編成で、これまでとはまた違った音のタッチやアンサンブルによって熱狂を誘った彼らだが、ビルボードライブ大阪でのライブの2日目の直前に貴重な時間を割いてもらい、カマシとBIGYUKIの2人に揃って話を訊くことに成功。今回のツアーでの起用の経緯からお互いの音楽性について、LAとNYの音楽家の気質の違いまでと、多彩に語ってもらいました。

話す言葉と同じように音楽でも共通言語のようなものがある

--まずは、改めて今回ツアーにキーボード奏者としてブランドン・コールマンやキャメロン・グレイヴスに代わってBIGYUKIを起用した理由から聞かせてください。

カマシ・ワシントン:ユキに初めて会ったのはハーヴィー・メイソンのグループで一緒になった時だったけど、その時から凄いキーボード奏者だと思っていた。もちろん幼い頃からずっと一緒にやってきたブランドンとキャメロンのスタイルは独特で他にはないものなんだけど、彼らとはまたちょっと違った形で自分の音楽にナチュラルに入ってくるキーボード奏者をずっと探していて、ユキはそれにピッタリな存在だと思った。で、ロンドンのO2アカデミーでの公演(今年3月)で実際にやってみないかということになって、そこで初めて一緒にやったんだけど、やっぱり彼のプレイは素晴らしかったので、その後のツアーも回ってもらうことにしたんだ(※来日前の7~8月に行われた北米ツアーは、ハービー・ハンコックとのダブル・ヘッドライナー)。話す言葉と同じように音楽でも共通言語のようなものがあって、それがベースにあった上でお互いの心を通い合わせた演奏ができると考えているので、そこが一番の理由かな。加えて彼はクラシックやジャズだけじゃなく、ヒップホップ、ソウル/R&Bなどに関しても熟知しているし、そんなキーボード奏者はなかなかいないからね。

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--BIGYUKIさんはこれまでにもジャズに限らず様々なセッションをこなされていますが、メンバー全員が幼なじみのような間柄でもあるカマシのグループに加わって演奏するのは、また他にはない難しさがあったのではないかと思いますが。

BIGYUKI:最初は全員が凄い奴ばかりでありながら幼なじみで、強い絆でガッチリと繋がっている高校生のクラスに突然入ってくることになった転校生のようでしたね(笑)。その中に入っていかなければいけないということで、最初はナーバスにもなったしチャレンジングなことでした。で、ツアーというのは単にステージに立って演奏するだけではなく、それ以外の部分でもいろんなことを(他のメンバーと)シェアしていかなきゃいけないので、その中で1人1人と知り合って理解していくというプロセスがあって。そのプロセスを経て自分の居場所を見つけて、なおかつ音楽的な部分でも居場所を見つけることで、自分の持っているものを発信できるようになっていきましたね。カマシの音楽は一聴して彼の音楽だとわかるものであると同時に、自分たちのような演奏家にフリーダムというか、自由にやっていいんだよという余裕を与えてくるところがあるので、チャレンジングなことは多いんだけど、普段の自分とは違うことをやることで、自分の違う面を引き出してくれるところもあったりして。素晴らしい経験をさせてもらっています。

--カマシさんの方は、実際にユキさんをメンバーに迎えてやってみていかがでしたか?

カマシ・ワシントン:いま彼が言ったように、自分たちのライブはしょっちゅうテンポやキーを変えたりしてフリーな部分も多いのだけど、そこにもしっかり対応してくれる。必ずしも凄いミュージシャンと一緒にやれば良いモノが出来たり、自分たちが心地よくやれるかと言えばそうではなく、やっぱり合う/合わないがあるのだけど、その点では彼は“合う”ミュージシャンだったと思います。最初にセッションする前は大丈夫かな?と思っていたけど、実際にやってみると自由に即興で演奏するパートでも彼ならではの個性がちゃんと出ていたし、演奏を重ねながらどんどんと変わっていく中でも自分のスタイルを保ちながら付いてきてくれた。普段はめったに他人を褒めることがない、あの(ドラマーの)ロナルド・ブルーナー・ジュニアでさえ(笑)、彼は凄いねと絶賛しているよ。

BIGYUKI:それは嬉しいね(笑)。

--ユキさんは、カマシが作る音楽のどういった点が特に個性的だと思われていますか?

BIGYUKI:最初にハーヴィー・メイソンのグループで会った時は、まだ『The Epic』(15年)をリリースする前だったのであまりよく知らなかったけど、あの作品が出たことで僕も知りました。彼の音楽はまずとても強いメロディを持っているんだけど、同時にパワフルで様々な音が重なってのハーモニーが素晴らしいので、楽曲の持っているエネルギーというのが聴いている人にもすごく良く伝わるんですよ。こうやって毎晩のように一緒に演奏していても特に重要なのはハーモニーで、俺はキーボード奏者なので主にコードを弾いていくわけなんだけど、その中で彼のハーモニー・センスに刺激を受けて、新たに気付くことや音の聴き方が変わってくることもありますね。

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--また、カマシさんは米国西海岸のLAを拠点に活動されていて、ユキさんは東海岸のNYを拠点に活動されているわけですが。ジャズに限らずヒップホップやロックなどでもよく言われることですけれど、やはり東と西では音楽家の気質や環境などに大きな違いがあるんでしょうか?

カマシ・ワシントン:NYもLAも世界中のいろんな場所から人が集まって形成されている街なので一概には言えないところがあるけれど、自分が思うところでその違いについて話してみると、NYはまず“何かひとつのことを極めたい”という人が行く場所だと思う。実際にNYには優れたミュージシャンもたくさんいるし歴史もあるので、それをに応える魅力もある。それに対してLAはもちろん素晴らしいミュージシャンもいるのだけど、何かを極めたいという人が来る場所ではまずないと思うし、特に僕が生まれ育ったサウス・セントラル地区はハリウッドなどとまったく違って海外の人たちが観光で訪れるような場所でもなくて、セレブリティや有名人になりたい、何かを極めるためにガムシャラに頑張るというよりも大事なのは自分だちが作る音楽であって、それぞれが個人個人でやっていくという良さが自分たちのコミュニティにはあると思う。また、NYには(指で階段を上がっていくような動作をしながら)こうなりたいなら、最初はこうして次はこうして…という決まったレベルのステップが存在していてそれもイイんだけど、LAはそれとはまた違って、みんなが一人一人のやり方で模索しながら突破口を切り開いていくというフリーダムな雰囲気があるかな。特に自分が育ったエリアでは。

--なるほど。それはカマシ・ワシントンの作品群からも強く感じられることですね。

カマシ・ワシントン:でも、音楽というのは国籍などを超えた共通言語なので、NYやLAに限らず、日本だったりブラジルだったりと世界中からいろんな人たちが集まってより素晴らしいモノが出来ていくものだと思うし、出どころが違うと持っている考え方やアイデンティティなども違うかもしれないけれど、音楽はそれをひとつにしてくれるものだと思っている。そういった各々が持つスピリットというのは音にも反映されるし、LAとNYの音の違いというのも、そういう意味ではあるんじゃないかな。

--では最後に、お2人それぞれの今後の動向について聞かせてください。

カマシ・ワシントン:今はまだ次のアルバムやプロジェクトの方向性は具体的には決まってなくて、前作からこれまでの経験をベースにどうしようかと探っているところ。それとは別にコミック・ブックを作ってみたいなとも思っているけれど、それもまだアイデアを練っている段階で、どっちが先になるのかはわからないね。

BIGYUKI:俺はいま次のアルバムを作っていて、今年の末か来年の頭には出せればいいなと思っています。今回のツアーに参加していることも自分自身の音楽にすごく刺激になっているから、その影響を次のアルバムにうまく表現できればいいなと。

カマシ・ワシントン:そうなのか。じゃあ、その分け前はちょっとオレにもらわないとな(笑)。



▲ AS TOLD TO G/D THYSELF - TRAILER

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