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ダニエル・パウター来日記念特集~「Bad Day」の世界的ヒットで知られるSSWの変わらぬ魅力に迫る

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 2005年から2006年にかけて世界中で大ヒットを記録した「Bad Day」。その歌い手であるダニエル・パウターが、まもなく来日公演を行う。卓越したシンガー・ソングライターとしての実力はもちろん、その人懐っこいキャラクターでも人気を誇るが、ライヴ・パフォーマンスも定評が高い。ここでは、代表曲である「Bad Day」を中心に、これまでの足取りをたどってみたい。

 ダニエル・パウターは、1971年にカナダのブリティッシュ・コロンビア州で生まれた。大都市バンクーバーのある州だが、彼の生まれたのはヴァーノンという小さな町。4歳のときにヴァイオリンを習い始め、10歳頃からはピアノを弾くようになった。そして、ハイスクールで初めてバンドを結成し、リード・ヴォーカリストとして活動するようになった。音楽を追求すべく、高校卒業後は音楽大学に進んだが、そこには大きな試練が待ち受けていた。というのも、彼は幼少時からディスレクシア(識字障害)の傾向があり、楽譜を読むことができなかったのだ。そのため、せっかく進んだ音楽大学を、やむなく2年で退学してしまう。

 しかし、この出来事をきっかけに、ダニエルは他人の音楽ではなく、自分の音楽を作ろうと決意する。そして、ヴァーノンを飛び出し、ミュージシャンとして生計を立てるために大都会バンクーバーで一人暮らしを始めた。そして、ライヴハウスを中心にミュージシャンとして活動していったが、音楽で成功するのはそんなに簡単なことではない。日中は仕事をしながら夜は歌うという苦しい生活を何年も送っていた。そんな時にクラブで出会ったのが、レコーディング・エンジニアであり音楽プロデューサーのジェフ・ドーソンである。ヘヴィ・ロックを得意としていたジェフだが、ダニエルのポップ・センスに着目し、その後のダニエルの特徴となるオルタナティヴ・ロックとポップ・ロックをミックスしたような音世界を共に作り上げていった。

 ダニエルとジェフが出会ってから3年後の2000年に、ダニエルの初のアルバム『I'm Your Betty』がリリースされる。10曲入りの本作はローカル・レーベルということもあってさほど注目されることはなかったが、2曲がテレビ・ドラマに使われるなど多少の手応えは感じられた。ジェフはダニエルの才能を信じて売り込みを続け、ワーナーと契約を交わす。そしてついに、2005年にシングル「Bad Day」でメジャー・デビューを果たすのである。



▲Daniel Powter - Bad Day (Official Music Video)


 「Bad Day」が最初に火がついたのは、カナダでもアメリカでもなくヨーロッパだった。2004年のクリスマスシーズンに、フランスのコカコーラのCMに使用されたことがきっかけとなり、瞬く間にヨーロッパ中のラジオ局がこぞってこの曲をかけ始めた。結果的に「Bad Day」は、この年にヨーロッパでもっともオンエアされた楽曲となっただけでなく、シングルのセールスやダウンロード数を伸ばし、ビルボードのヨーロピアンHot 100で2位まで上昇。イヤーエンド・チャートでは7位を記録した。また、UKチャートでも最高位2位を記録し、38週に渡ってチャートインすることになった。ヨーロッパで成功した後は米国にもその人気は飛び火し、じわじわとチャートを上昇した後、2006年にはHot 100で首位を記録。また、イヤーエンド・チャートでも1位となり、2006年には世界で最も人気のある楽曲となった。

CD
▲『ダニエル・
パウター』

 「Bad Day」の成功には様々な理由があるが、なんといっても楽曲そのものが持つパワーだろう。ピアノを基調にしたミディアム・テンポの心地良いテンポとメロディは親しみやすくキャッチーで、ダニエルの個性的な歌声とぴったりマッチしている。シンセサイザーによるストリングスなどのアレンジはかなり手作り感があるが、あえてこのようなデモテープのような雰囲気を残したのは、共同プロデューサーとして起用されたミッチェル・フルームの助言によるものだという。そして、こういったハンドメイドな印象のサウンドに乗せた歌の歌詞は、「今日はたまたまついていなかっただけ。そんなに頑張らなくていいよ」というメッセージが込められ、リスナーにとっては等身大で応援しているように感じられたのだろう。これはまさに、彼の苦労人としての優しい人柄が表れた一曲といえる。

 「Bad Day」が収録されたセカンド・アルバム『Daniel Powter』も、ビルボードのアルバム・チャートで9位まで上昇する大ヒットとなり、一躍トップスターとなった。その後、2008年にはサード・アルバム『Under The Radar』、2012年には4作目のアルバム『Turn On The Lights』をリリース。非常にクオリティの高い作品を発表し続けている。残念ながら「Bad Day」が大ヒットしすぎたために、一発屋的なイメージを持たれることも多いが、その後の充実した作品群を聴けば、そんなことは一笑に付してしまうほど、彼の実力には圧倒される。



▲Daniel Powter - Best Of Me



▲ダニエル・パウター / 恋のキューピッド


CD
▲『ジャイアンツ』

 その実力派ぶりは、2018年末に発表された5作目のオリジナル・アルバム『Giants』を聴けばさらに納得するはずだ。冒頭の「Perfect For Me」からエモーショナルなメロディが奏でられ、彼の健在ぶりがうかがえる。基本的にはピアノ弾き語りをベースにしたシンガー・ソングライターとしての魅力は変わらず、ポップなロック・サウンドと彼の快活なヴォーカルのコンビネーションは抜群だ。また、「Bad Day」を始めとする過去の代表曲のリメイクも収められており、それらのシンプルなアレンジなどからも、まさに原点回帰ともいえる作品となっている。

 地道に活動を続けるダニエル・パウターは、この6月にビルボードライブでの来日公演が決定した。新作での充実ぶりからもわかるように、ライヴ・パフォーマンスにも期待が高まる。ぜひあの名曲をあの声で歌う姿を、間近に体感していただきたいと思う。



▲Daniel Powter – Perfect For Me (Official Lyrics Video)


 

 

ダニエル・パウター「ジャイアンツ」

ジャイアンツ

2018/12/14 RELEASE
WPCR-18114 ¥ 1,944(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.パーフェクト・フォー・ミー
  2. 02.ドゥ・ユー・ウォナ・ゲット・ラッキー
  3. 03.サヴァイヴァー (FEAT.ケリー・ユー)
  4. 04.デリシャス
  5. 05.バッド・デイ~ついてない日の応援歌 (リレコーデッド・ヴァージョン)
  6. 06.フリー・ループ (リレコーデッド・ヴァージョン)
  7. 07.君は君のまま (リレコーデッド・ヴァージョン)
  8. 08.ドゥ・ユー・ウォナ・ゲット・ラッキー (ホリデイ・ヴァージョン)

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