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清塚信也『connect』インタビュー



清塚信也

 クラシック・ピアニストの枠にとどまらず、作編曲家、俳優としてもマルチな才能を見せる“表現者”清塚信也。12月12日にリリースされたアルバム『connect』は、クラシック音楽と人々を、クラシックと現代を、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンと我々現代人を《connect》=つなげるべく、クラシック・ピアノの名曲を清塚信也ならではの“現代(いま)の”解釈で再現された作品となっている。今回はBillboard JAPANで敢行したインタビューに対し、アルバムへの想いや音楽家の人間性、最近のコラボレーションについてなどを語ってくれた。

バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンはどんな人だった?

−−今回のアルバムは『connect』ということですが、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンの3人をフィーチャーされた理由を聞かせてください。

清塚信也:最近はオリジナルを含め、特にアルバムではクラシック以外の音楽を扱うことが多かったので、やはりルーツでもあるクラシックをそろそろ皆さんに聴いて頂きたいなと思いました。それに、テレビ番組も含めて、クラシックの良さや面白さを伝える側の立場を少しずつ確立しつつあるという自負が生まれてきたので、リスナーの皆さんとクラシックとピアノをコネクトする(=繋げる)という想いで今作を制作しました。クラシックの魅力を伝えるには歴史的に振り返っていくことがとても面白いと思っているので、資料のある内では一番古いくらいの作曲家、音楽の父と言われているバッハから年代順にモーツァルト、ベートーヴェンを挙げていきました。

−−代表曲もたくさん知られている3人ですね。

清塚:彼らの有名曲は、良い曲が多いんですけど実は非常にシンプルで簡単な曲が多いんですよね。もし彼らが生きていたら、例えばモーツァルトなら「トルコ行進曲」、ベートーヴェンなら「エリーゼのために」など、誰もが知ってる曲を代表曲とされていることに対して、「違うんだよなぁ」っていう気持ちを持つんじゃないかと思うんです。

−−もっと他に良い曲があるということですか?

清塚:今言った曲が、力が抜けているからこそシンプルで覚えやすくてウケたというのも事実なんですけど、彼らにとっての自慢できる曲や代表曲は決して今残ってる名曲じゃないんです。得てして音楽家や芸術家は、全般的に同じことが言えると思います。その中で、彼らの真意や深い魅力が伝わる曲、本格派の曲というのをずらっと並べたら、ベートーヴェンぐらいでもう収録時間がいっぱいになりました(笑)今回はこの3人でしたが、面白いと言ってくれる方が多ければまたベートーヴェン以降も演奏したいなという思いは、うっすらとあります。

−−初めはクラシックをあまり知らない人にも分かりやすい3人を挙げられているのかなという印象を持ったのですが、アルバムを聴き始めるとあまり聞き馴染まれていないような曲もありました。選曲の基準は、清塚さんが思う3人の代表曲ということですか?

清塚:そうですね。僕が思う代表曲であり、また面白い物語がある曲を選びました。あえて今回はブックレットに説明などは書かなかったんですよね。なので、こういう言い方をすると申し訳ないのですが、アルバムだけ聞いても成立していないというか、是非テレビやコンサートでそんな物語を含んだ僕の言葉を一緒に聞いてもらえると、がらっと魅力が変わるという曲たちを挙げてみました。

−−それぞれの物語もお伺いしたいです。年代順に、まずバッハはいかがですか?

清塚:バッハの年代というのは、1600~1700年代の中盤までで、バロック時代と呼ばれていたんですけど、その時はまだ僕達が知っているグランドピアノはなかったんです。当時の鍵盤楽器はチェンバロやオルガンと言って一定の強弱しかできない楽器なのですが、(鍵盤を)強く叩けば強い音が出るっていうのが当たり前になってしまっている今の人は想像できないですよね。グランドピアノの技術って実は割と近代的で、すごく画期的な楽器のシステムなので、バッハの当時はまだそれができなかったんですね。クラシックの音楽は、そういった歴史の素晴らしさ、重みも再現してお伝えしたいという心があるので、プロのピアニストがコンサートでバッハを弾くときは、できるだけバッハの当時の環境に寄せた弾き方をするんです。つまり、グランドピアノで弾いているのに関わらず、強弱をなるべく抑えて弾くんですよ。当時のチェンバロで弾いているようなピアノの弾き方をあえてするんです。それがバッハの時代やバッハへのリスペクトでもあるし、それがバッハらしさにも繋がってくる。ただ、僕は、それにとらわれていない演奏を今回はしたくて。



▲清塚信也-「J.S.バッハ: イギリス組曲 第3番~前奏曲/ガヴォット/ジーグ」


−−確かに清塚さんの演奏は「バッハを再現する」というよりも、こういう表現もあるんだなと驚かされました。

清塚:『connect』と言っても、皆さんをバッハの時代にコネクトするだけじゃなくて、バッハを我々の時代にコネクトするって意味合いもあるんです。バッハの音楽を、グランドピアノの強弱をフルに使って、ドラマティック、ダイナミックに弾いたら、かっこいいんじゃないか。むしろ、バッハの時代と今とでは環境が違い過ぎて、同じにする意味がないんじゃないかと吹っ切れた解釈ですね。200~300年前の時代の音楽の方が、新しい可能性を生むと思うんです。時代が進むと録音も残っていたりするので、正解を知ってしまうと誰もが「こう弾くべき」となってしまうんですよね。バッハの時代にはもちろん(録音の技術が)ないですし、使った楽器まで違うんだったら、「もう割り切って違う楽器で弾いてる演奏をしちゃおうよ」という考えの元で、今回バッハを演奏してみたんです。

−−バッハへのリスペクトもあり、挑戦だとも受け取れますね。

清塚:基本、僕はリスペクトだけじゃなく、偉大な作曲家のことをライバル視もしてるんです。もちろん彼らの魅力を伝えたくてコンサートもするんですけど、伝われば伝わるほど他人の曲の株を上げちゃったなって、心の狭い思いがどこかであって、だからジレンマですよね(笑)

−−(笑)順に行くと次はモーツァルトですね。バッハやベートーヴェンは時代を変えたイメージがとても強くて、モーツァルトはキーマンとして音楽の授業などでも取り上げられますが、失礼ながら前者のお2人に比べて少し控えめなイメージがあるのですが…。

清塚:その通りです。というのも、モーツァルトというのは非常に職業的な作曲家だったんです。彼の曲は煌びやかで明るい曲や可愛い曲が多いんですけど、ほとんど貴族に委託されて、「今度こういうパーティーや食事会があるから、こういう曲作ってくれ」「偉い人がくるから、こういう曲を作ってくれ」など企画がある段階での委託作品が多かったんですね。だから、僕達はほとんどモーツァルトの音楽を通して、モーツァルト自身の考えや思想、哲学、それから個性といったものを知らないんです。おそらくモーツァルトがベートーヴェンのように、自由に自分の感性で音楽を作曲していいと言われたら、すごく悲しくて、苦しくて、情熱的で怒りに満ちたような、反対の音楽を作っていたんじゃないかなと思うんです。そういった感情がところどころ零れ落ちるような曲があるんです。

−−例えばどういった部分でしょうか?

清塚:「レクイエム」や、「ドン・ジョヴァンニ」の中のお父さんが出てくるシーン、そしてもう一つは今回入れたハ短調の「ピアノソナタ 第14番」に表れている気がします。本当は、彼自身こういうことがやりたかったんじゃないかと思うし、もしかしたらモーツァルトはベートーヴェンよりもすごく辛い人生を歩んでいるのかもしれません。お父さんはすごく厳しい人だったし、子どもの頃からも仕事もしていたし、人生で憩いややすらぎを感じたことがなかったんじゃないでしょうか。短命だったということもあるし。それに彼は天才がゆえに社会に馴染めずにいたから、貴族達から生活のお金をもらうために、委託作品をこなして必死で生きていたんだと思います。ベートーヴェンのように自分でシステムを構築していくカリスマ性や体力、勢いがモーツァルトにももう少しあれば、ベートーヴェンを遥かに上回る何かを作ったんじゃないかと僕は思います。

−−一方、そのカリスマ性を持っていたと仰るベートーヴェンですが、今作では「ピアノソナタ 第14番 嬰ハ短調 作品27の2 《月光》」を取り上げられていますね。

清塚:「月光」は人気のある曲なので、第一楽章に馴染みのある方もいらっしゃると思うんですが、コンサートで演奏するとモーツァルトとバッハは控えめな曲なので、最後にバシッときまる曲がないといけないなっていうのがまず第一にありました。あとは、「月光」って深刻な曲に聞こえるんですけど、割と“軽い”動機がありまして。(ベートーヴェンは)貴族や政治家などのお金持ちの人に対して曲を捧げて、特別料金をもらっていたんです。生きていくシステムに経営者としての自分を立てていたという音楽家としては珍しいタイプなんです。それと同時に、彼は好きになった女性にも曲をあげていたんですよ。一度に何人も好きになったり、時には姉妹をどちらも好きになってしまったりするので、その度にお構いなしに曲をあげるんですよ。その中の一つに「エリーゼのために」もあるのですが、今回演奏した「月光」も、ある方のために作った曲なんです。実はこの方には別の曲を用意していたんですが、その曲を別の貴族に渡さなくてはいけなくなったため、好きな人には急遽代わりの曲として「月光」を作ってあげたっていうお話なんです。なので、ベートーヴェンは意外と軽いんです(笑)




−−男性が女性にラブソングを贈るという話は現代でもあるようですが、それに似た雰囲気が…。(笑)

清塚:ベートーヴェンは高名な作曲家だったので、自分が人に曲をあげると行為の価値を当時から自負していたんでしょうね。「この俺があげるんだぞ」っていう感じで、ベートーヴェンらしい傲慢なところもある気がします。ただ、それ以上にロマンティックな何かがあるかっていうとそうでもなくて(笑)「月光」っていう題名もベートーヴェンが実はつけたものではなくて、彼の死後にある詩人が「月の光が湖に照らされて反射しているようだ」と第一楽章を聞いて言ったその感想が伝わっているっていうだけでなんですよね。ただ、ずっとアルペジオだけで演奏される特殊な第一楽章なので、非常に奇抜なベートーヴェンらしい、型にとらわれない曲です。なので、先ほどもありましたが、作曲家というのはそうやって自分で価値を見出していない曲が名曲として残る傾向にあるのがまた面白いんですよね。「月光」はその代表かなと思っています。

−−そういった人間性を教えて頂くと、曲のイメージも異なったドラマや像が見えてきますね。クラシックで再現をする上で、原曲に忠実というのが美学とされていますが、バッハやモーツァルト、ベートーヴェンの3人には癖や個性もありますよね。

清塚:もちろんあったと思いますね。ベートーヴェンで言えば、いつでも手放せないヒーローイズム、ナルシズムがあって、とにかくどの小節、どのリズムを刻んでる時でも「自分のことをわかって!」という想いがいっぱいなんです。なので、音楽が非常に断言的で。だから、タメも非常に少ないし、音を出す時にダン!と出しちゃうんですよね。  モーツァルトはその逆で、すごく内向的で、外になかなか出せなかったところがあります。あとモーツァルトはベートーヴェンほど思い切りが良くない。というのも、美しい響きや美しい和音といった技術が自分の中に備わりすぎていて、何をやっても美しくなってしまうという特徴があるんですね。だから、和声の響きも、物凄く悲劇的で叫びや慟哭のような感じもするんですけど、でもちゃんと楽譜を見ると、どこか冷静に和音の積み方、音の抜き方が技術的に考えられていて、綺麗に聴こえる和声になってるんですよ。ベートーヴェンはそんなの関係なく、わーって盛り上がる時に全部弾いちゃう。モーツァルトがどこまでいっても品良くどんなに怒っても声を荒げないで、大人としての態度をとってくれる人だとしたら、ベートーヴェンはもう怒らせたら終わりっていうような(笑)それぞれ人間性も含めて癖があるのは面白いですよね。

−−清塚さんご自身の癖もありますか?

清塚:もちろんですよ。そういう意味では、今回のバッハなんかは、あまり制御せずに弾き方、溜め方の癖も出しています。本来コンクールだったら減点されるようなことなんですけど、そのバッハらしさよりも、今僕ができるバッハの表現というものを優先させてもらいました。

−−再現の美学とも言われる中、ご自身の個性を出すことに対してこれまでは否定的な意見などもあったりしましたか?

清塚:ありましたね。学生の頃はそれなりに背徳感みたいな面もあったんですけど、今は逆にそういう批判や指摘が糧になっていくようになって、すごく嬉しいです。そういう議論ができるぐらい真剣に僕の演奏を聞いてくれていることが嬉しいんですよね。炎上商法じゃないですけどね(笑)バッハを「自分はこう弾いてやろう」と、そういう思惑は多少なりともあります。

−−最近は『関ジャム』(テレビ朝日『関ジャム 完全燃SHOW』)などで清塚さんを拝見することが増えて、番組を見ながら授業を受けている気分になります(笑)そうやって、清塚さんがポップにお話されることでクラシックがとても分かりやすく伝わりやすくなったと思いますが、これまでのクラシック音楽に対して自分で変えていこうという考えは、そういった反発心があったからでしょうか。

清塚:反発心は、20歳頃がピークでしたね。コンクール漬けの人生だったので、コンクール、コンクールと言われて必死に頑張ってきたけど、特に優勝した時に虚無感を感じていました。「なんだったんだろう」という思いが毎回あったのを覚えています。コンクールや優勝することが意味がないこととは言いませんが、何を得るかは人それぞれですからね。コンクールが着地点やゴール点になってしまうと、楽器奏者としては何か失うものがあるというか、コンクールだけが正義ではないと僕は個人的に感じていたのが、それが今の活動の発端となったのは確かかもしれませんね。

−−成績を収めながらも、我慢して、抑え込んで結果を出したということがずっと残っていた。

清塚:そういうことですね。途中からは「それをやらなくていい」という確証を自分の中で得るためにやっていたのかもしれません。コンクールに出もせずに「やらなくていいだろう」と言うのは何か違う気もして。なので、一位を取ってみて「やっぱり俺には意味がなかった」って言いたかったっていうのはすごくありました。

−−清塚さんを再現される方が今後出てきた時に、人間的な部分をどう解釈されるのか、楽しみですね。

清塚:どうなんですかね(笑)100年後まで僕の音楽、残ってるのかなあ(笑)

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−−そういえば、清塚さんのレコーディングってどういった感じで撮られるんでしょうか?一発撮りで終える方、納得いくまで何テイクも重ねる方が分かれると思いますが、クラシックの方たちは基本的にどちらが多いですか?

清塚:クラシックで言えば、みなさん結構神経質にテイクを重ねる方が多いかもしれませんね。僕は長く集中力が続かないので、割と1テイク、2テイクくらいで仕上げてしまいますね。そもそもレコーディングスタジオに向かう時も、何回も録るぞっていう思いはなくて。まずもって集中力が続かないんですよ、飽き性なのかな(笑)今回も<Red Bull Music Studios Tokyo>という素敵な場所で録らせてもらって、ピアノもYAMAHAのCFXっていうこの上ない環境なんですけど、レコーディングは長く続かなくて。

−−なるほど。コンクールなども一発勝負だし緊張感に打ち克つ集中力はもちろん皆さんお持ちだと思うので、レコーディングはどうなんだろうと気になりました。

清塚:みんな長いこと(集中)できるんですよ。本当に関心します。他の人とのレコーディングだと大変ですね。撮ってみて「すっごい良かったねー」って言われて「よっしゃーできた!」って思っていたら「あと一回だけやろうか」とか言われて。「さっき良いって言ったじゃん!」って(笑)僕、何でもそうなんですけど、一回出しちゃうとまた同じことやるのが恥ずかしくなっちゃうんですよね。用意してきたなって思われるのがすごく恥ずかしくて。

−−重ねるごとにそれが準備になっちゃいますからね。

清塚:そうそう。だからバラエティー番組のリハーサルなんかも恥ずかしいんです(笑)

−−さっき冒頭でも今時代をコネクトしたいって仰っていましたが、クラシック音楽をもっとポピュラー音楽として伝えたいという思いは前からお持ちだったんですか?

清塚:そうですね。クラシックに関しては一番そこがやりたかったことかな。クラシックがもっと面白いよってみんなに伝えたいっていう気持ちは、(自分の面白いと思ったことを)『リツイートする』みたいな(笑)そういう感覚は思っていました。

−−このタイミングでアルバムの題材にしようと思われたのは、どういった理由が?

清塚:やっぱり、テレビも含めみんなが前より少し自分の発言に耳を傾けてくれているような自負が生まれたので、今こそやるべきかなと思いました。

−−楽譜以外にも「こういうところを伝えたい」という部分は今回ありましたか? さっきも音楽家の人間的な部分をお話してくださいましたよね。

清塚:極論を言うと、曲を伝えることではなくて、作曲家や、時代の流れを汲んできた一つの音楽がここまで歩んできたストーリーを、みんなで共有したいって思いが強くて、そういう意味では今回選んだ楽曲も「絶対にこの曲を聞いて欲しい」という感じではないんです。その曲が音楽家の話を伝える上で、ポイントになると思ったから選んだのと、僕が好きな曲だということが選曲の理由なので、このアルバムを聴いてここで終わってほしくないっていう気持ちが大きいですね。

−−アルバムでは、清塚さんが作曲された楽曲も収録されていますが、「Etude No.1 “Dessin”」のエチュード(=練習曲)というのは?

清塚:ピアノを弾く方ってすごく多くて、趣味でも大人の方でも自分で弾く楽器としても馴染みがあるんだなとよく感じていました。そういった方々の練習にもなって、健全な思いで弾けるようになりたいという気持ちの二つが一致することって少ないんですよね。クラシックの練習曲になると、ものすごく難しすぎるか、ものすごくつまらないかどっちかなんですよ。だけど、ショパンは練習曲なのにとても綺麗な曲を作って、それが新しかったんですよね。コンサートでも弾けちゃう練習曲なんてそれまではありえなかったんですけど、ショパンの曲は「ピアノ練習したくなるじゃん」と思えるような曲で。だけど、それももうかれこれ100年前ですから、そろそろ新しく現代の人に合った、「弾きたくなるし、しかも練習にもなる」練習曲が楽譜の出版も含め教育的な側面も持ちつつ必要なんじゃないかなと。需要があればいいなと思って、なんとなく入れてみました。需要がなさそうだったらやめます(笑)

−−それもやはり作曲家に対するライバル心から来るもの?

清塚:そうなんです。他人の曲弾くのは本当…(笑)

−−「Etude No.1 “Dessin”」は、練習曲とは捉えずに聴くことのできる楽曲ですよね。メロディーもとても素敵で。

清塚:レパートリーにも練習にもなるし、ピアノがあって何か弾ける?って話になった時にあの曲が弾けたら、ガチ過ぎないし、きれいに弾ける感じがしていいかなあと思ってます。

−−清塚さんもお子さんがいらっしゃいますが、ピアノは教えられたりしますか?

清塚:ピアノにすごく興味は示しています。僕の師匠の奥様が開かれている音楽教室に習いに行っているので、僕は全く教えていないです。

−−練習されている清塚さんの姿を見ているとお子さんもやはりピアノへの興味が沸きますよね。

清塚:グランドピアノもあるし、シンセサイザーも含めて4、5台家にあるんで、弾きたくなる環境ですよね。

−−4、5台もあるんですね!

清塚:今の電子楽器は面白いので、気づいたら数が増えていました。子どもたちも一日一回はピアノを触りたいって僕のところに来るんですが、でたらめに触らせて、僕は何も助言せずに「ドはどこかわかる?」って聞いて、(娘が)ドを弾いたら「天才だ…!」とか言ってます(笑)

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多方面とのコラボレーションについて

−−「『シラノ・ド・ベルジュラック』~愛のテーマ」ですが、吉田鋼太郎さん主演舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』では劇中の音楽を担当、そしてご自身も楽士として出演されていました。以前「劇伴音楽は物語の邪魔をしないことを意識して作る」と仰っていましたが、演劇作品となると音楽は大きな要素になりますよね。

清塚:同じように邪魔しない方が本当はいいのですが、今回は日生劇場の舞台上で僕も弾かせて頂いたんです。そうすると必然的に僕の個性や演奏のエモーショナルなところというのがむしろないと意味がなくなってしまうので、非常に繊細な作業でした。劇伴ほど隠れないし、コンサートホールほど主張しないという。

−−ご自身が演技をしながら弾くというのは、普段とまた違う感覚でしたか?

清塚:意識はしていましたが、彼らの言葉で伝わり切らないところを僕らが補う役目なわけですから、すなわちシンクロしていいので、吉田鋼太郎さんの強弱に合わせて弾けるし、鋼太郎さんの芝居ってすごくエモーショナルなのでそんなに苦労はしなかったです。けれども、やっぱり怖いのはセリフを被せて潰しちゃってるんじゃないかという不安はありました。自分の弾いている範囲の音とPAさんの方から飛んでる音は全然違うので。だから、思いっきり弾いていいのかな、どうなのかなって探りを入れるのが一番怖かったです。

−−なるほど。

清塚:あとは、鈴木裕美さん(演出家)がものすごく的確かつセンシティブなご助言をしてくださるので、本当に感服しました。厳しいですけどすごく素敵なアーティストの方で。監督というよりも演者目線で、僕にとっては芸術感が満たされる毎日でした。曲もほとんど作っていかなくて、稽古を観ないとわからないので、稽古しながら僕がずっとピアノの前で座ってて、ある時裕美さんが僕の方くるっと向いて「ここ、“素直な心”!」って題名言ってくれるんですよ。で、「“素直な心”? そうか、じゃあこれかな」って即興で音楽を作っていったので、音楽大喜利という感じでした。でもお題がきて、それに答えて、と言う風に作ったのは裕美さんも初めてって言ってましたし、僕にとっても楽しかったですね。

−−舞台もかなり新しいチャレンジだったと思いますが、スケートの羽生結弦選手とのコラボレーションも、素晴らしかったです。生演奏とスケーターの方のコラボレーションって、今までありそうでなかったですよね。どういった経緯でコラボレーションすることに?

清塚:元々【Fantasy on Ice】というショーに去年初めて参加させて頂いたのですが、今回初めて羽生選手とコラボレーションさせて頂きました。羽生選手はスケートのセンスだけでなく、自分のスケートをプロデュースするという監督としての目線も誰よりも優れていて。今までとは違うコラボレーションができたなと思いました。



▲清塚信也-「春よ、来い」(Fantasy on Ice 2018使用曲)


−−今回コラボーレション曲だった「春よ、来い」は、羽生選手がご自身でリクエストされたんですか?

清塚:そうです。彼の中であの曲に対して色んな想いがあると思います。スケーターはあの数分の中ですべてを使い切るんで、そんなに練習が何度もできないんです。だけど本当に妥協なく、リハーサルも入念にしてくれて、一緒にタイミングも掴んでいったので、僕の中でも思い入れの強いものになりました。『関ジャム』でも言ったんですが、最後のグリッサンドがだいぶ痛くて。僕も必死だし、羽生選手も回ってるし、誰も目も合わせられないから、何も合わせるものがないのですが、何度も練習して、お互いを理解して、最終的にはぴったり合う。どうしてなのか自分でも言えないんですよ。何かが通じ合うというか、「ここだ!」っていうのがあるのは、僕にとってはスポーツ的な感覚でもあり、羽生選手にとっては音楽的な感覚で。お互いの境地に達せたっていうところはありましたけど、リハーサルで何回もやるのは大変でしたね(笑)

−−それでは、今後コラボレーションするならどういう方としてみたいですか?

清塚:アコースティックももちろん好きなんですけど、実はシンセとか機材をいじるのが大好きなんです。でも、今僕のピアノ演奏を見に来て頂いているお客様をびっくりさせちゃうと申し訳ないから、急にはいろいろやらないように気を使っています。でも、いずれそういうコラボレーションがしたくて。たとえば、電子楽器、エレキの世界の人達とやっていきたいなって思いはすごくあります。

−−新たなチャレンジも含め今後も楽しみにしています。ありがとうございました!

清塚信也「connect」

connect

2018/12/12 RELEASE
UCCY-1092 ¥ 3,240(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.イギリス組曲 第3番 ト短調 BWV 808 Prelude 前奏曲
  2. 02.イギリス組曲 第3番 ト短調 BWV 808 Allemande アルマンド
  3. 03.イギリス組曲 第3番 ト短調 BWV 808 Courante クーラント
  4. 04.イギリス組曲 第3番 ト短調 BWV 808 Sarabande et Les agrements de la meme Sarabande サラバンド(同じサラバンド装飾法)
  5. 05.イギリス組曲 第3番 ト短調 BWV 808 Gavotte Ⅰ alternativement & Gavotte Ⅱ ou la Musette ガヴォットⅠ(交互に)&ガヴォットⅡ(またはミ
  6. 06.イギリス組曲 第3番 ト短調 BWV 808 Gigue ジーグ
  7. 07.ピアノ・ソナタ 第14番 ハ短調 K.457 第1楽章:Molto allegro
  8. 08.ピアノ・ソナタ 第14番 ハ短調 K.457 第2楽章:Adagio
  9. 09.ピアノ・ソナタ 第14番 ハ短調 K.457 第3楽章:Allegro assai
  10. 10.ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 作品27の2≪月光≫ 第1楽章:Adagio sostenuto
  11. 11.ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 作品27の2≪月光≫ 第2楽章:Allegretto
  12. 12.ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 作品27の2≪月光≫ 第3楽章:Presto agitato
  13. 13.Etude No.1 “Dessin” (BONUS TRACKS)
  14. 14.『シラノ・ド・ベルジュラック』 ~愛のテーマ (BONUS TRACKS)
  15. 15.春よ、来い (BONUS TRACKS)

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