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ジョン・レジェンド『レジェンダリー・クリスマス』発売記念特集~EGOT制覇を果たしたスターが贈る自身初のクリスマス・アルバム



JL

 グラミー賞10冠。その才能は音楽だけに留まることなく、「エンターテイメント界のグランドスラム」とも呼ばれる、エミー賞、グラミー賞、アカデミー賞、トニー賞の4大賞=EGOTを今年、39歳の若さで制覇し、名実ともにエンタメ界のスターとなったジョン・レジェンド。彼が満を持して発表する、キャリア初のクリスマス・アルバムは、ラファエル・サディーク全面プロデュースということでも話題だ。しかしなぜ今、クリスマス・アルバムなのか。そこには、ジョンが「レジェンド」というアーティスト・ネームに込めたであろう、“ブラック・ミュージックのDNAを継承する”という想いがあるのではないか? ジョン・レジェンドが我々に届けた『A Legendary Christmas』の魅力と背景について考えてみる。

EGOT制覇を果たしたエンターテイメント界のスター

 ジョン・レジェンド。来たる12月28日にデビュー14周年、そして40歳の誕生日を迎える彼は、伝説という姓に負けないだけのスターとなった。

 2006年の第48回グラミー賞で新人賞を含む3冠となって以来、これまでのノミネート数は28。そのうち10度グラミーの栄誉に輝いた。さらに、コモンと共に担当した映画『グローリー/明日への行進』の主題歌“Glory”で第87回アカデミー賞と第72回ゴールデングローブ賞(共に2015年)、第58回グラミー賞(2016年)と網羅。その上、劇作家オーガスト・ウィルソンが書いた舞台『Jitney』のブロードウェイ版の製作プロデュースを担当し、これが見事、第71回トニー賞(2017年)の演劇部門でリバイバル作品賞に輝いた。そして今年、ブロードウェイ・ミュージカル『ジーザス・クライスト・スーパースター』をTVで生披露するスペシャル番組『ジーザス・クライスト・スーパースター・ライブ・イン・コンサート』で主演を務め、同番組が9月に開催された第70回プライムタイム・エミー賞でバラエティ・スペシャル番組(生放送)部門を受賞。これによりジョンは、いわゆる「EGOT」――エミー賞、グラミー賞、アカデミー賞(オスカー)、トニー賞の4つの賞を指す――を制覇するという偉業を成し遂げたのだ。



 EGOT制覇は、それまで歴代で12名しか達成しておらず、これだけでも凄いことだが、さらに39歳とおよそ9ヵ月での達成は、『アナと雪の女王』などの作曲で知られるロバート・ロペス(39歳とおよそ1週間)に続く歴代2番目の若さであり、また最初の受賞(2006年のグラミー)からおよそ12年での達成もまた、ロバート・ロペス(10年)に続く歴代2番目の速さだ。そして、歌手を本業とする人物としては史上初でもある。

 2014年には現在の妻クリッシー・ティーゲンに捧げたバラード「All Of Me」でキャリア初の全米シングル総合チャート1位に輝き、エマ・ワトソン主演の実写版『美女と野獣』の主題歌をアリアナ・グランデと担当、エグゼクティヴ・プロデューサーも務めた映画『ラ・ラ・ランド』に俳優として出演……と幅広いフィールドで活躍を見せるジョン・レジェンドだが、音楽だけに留まらない、エンターテイメント界におけるスターとなったことを、EGOT制覇によってはっきりと証明してみせた。



▲John Legend - All of Me (Edited Video)


 この伝説の男が、自身6作目のスタジオ・アルバム――ザ・ルーツとのコラボ作『Wake Up!』を含めれば7作目――として我々に届けたのが、キャリア初となるクリスマス・アルバム『A Legendary Christmas』だ。

 今年は、ジェシー・Jの『This Christmas Day』、PJ・モートンの『Christmas With PJ Morton』、アロー・ブラックの『Christmas Funk』など、聖夜を彩る素晴らしいアーバンな作品が色々と発表されているが、中でもジョン・レジェンドのこのアルバムは特筆すべき出来だ。

 R&B~ソウル・ファンならば、まずはエグゼクティヴ・プロデューサーを手がけたのがラファエル・サディークというだけで色めき立つだろう。ジョンの2ndアルバム『Once Again』(2006年)で「Show Me」をラファエルが手がけたことはあったが、全面的にタッグを組んだのはこれが初めて。ソランジュ『A Seat At The Table』(2016年)や、オスカー候補にもなったメアリー・J.ブライジによる『マッドバウンド 哀しき友情』主題歌「Mighty River」(2017年)など、近年プロデューサーとして再び脚光を浴びているラファエル・サディークは、『インセキュア』(2016年~)、『アフターパーティー』(2018年)、『クリスマスの贈り物』(2013年)など最近はTVドラマや映画の音楽に携わることも多く、ジョン・レジェンドがプロデュースを務めたTVドラマ『Underground』(2016年~)の音楽も手がけている。



▲John Legend - Show Me (Video)


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「僕の声やスタイルは、クリスマス・アルバムを作るためにあったようなもの」

 「僕の声やスタイルは、クリスマス・アルバムを作るためにあったようなもの」とウォール・ストリート・ジャーナルに語っているジョン・レジェンドだが、そのために彼が指名したのがラファエル・サディークだったという。そしてその判断は、大正解だった。「ナット・キング・コールやスティーヴィー・ワンダー、マーヴィン・ゲイ、ダニー・ハサウェイ、ギャンブル&ハフを音楽スタイルのパレットにした。だからある意味でブラック・ミュージック史を巡るツアーのような作品だね」というジョンの言葉のとおり、本作は40年代~70年代のソウル~ジャズを思わせる雰囲気をまとったアルバムになっており、そうしたレトロスペクティブな作風を得意としつつ、現代的なセンスを備えているラファエル・サディークはまさにプロデューサーとしてうってつけの存在だ。

 ラファエルの甥っ子であるサー・ディラン(ディラン・ウィギンス)や、PJ・モートン近作でも優美なストリングスを聞かせていたマット・ジョーンズ・オーケストラを始め、優れたミュージシャンたちによる生演奏で奏でられたサウンドが、往年のソウルやジャズのホリデー・アルバムを彷彿とさせるヴィンテージな味わいをもたらす。サイ・スミス擁する華やかなコーラス隊や、ジャジーな「Have Yourself A Merry Little Christmas」でデュエット相手を務めたエスペランサ、そしてスティーヴィー・ワンダーのカバーとなる「What Christmas Means To Me」にハーモニカでスティーヴィーご本人登場……といった点も忘れてはいけない。ここに、時にキング・コールのように朗々と、時に若かりし頃のスティーヴィーのように伸びやかに、時にマーヴィンのように色気たっぷりに歌うジョン・レジェンドの声がソウルフルに輝く。原曲とは打って変わってアップテンポに仕立て直された、70sニュー・ソウル風の「Silver Bells」などは、ジョンのオリジナルかと一瞬勘違いしてしまう見事なリメイクだ(実際、原曲にないブリッジが付け加えられている)。



▲Have Yourself a Merry Little Christmas (Official Audio)




▲John Legend - What Christmas Means to Me (Official Audio) ft. Stevie Wonder


 オリジナル、と言えば、本作からのリード曲として、モータウン調のオリジナル曲「Bring Me Love」、そして「Have Yourself A Merry Little Christmas」のカバーの2曲が先行発表されたが、カバーが主体となりがちなクリスマス・アルバムにおいて半数近い6曲がオリジナルであり(カバーは8曲収録)、これらの出来がまた秀逸、というのも本作の特長だろう。「Bring Me Love」には、ドゥワップを現代的に蘇らせた大ヒット曲「All About That Bass」など、まさにレトロな作風で知られるメーガン・トレイナーがソングライターとして関わっているが、他にもオリジナル曲には、エド・シーラン「Thinking Out Loud」の共作者エイミー・ワッジ、アデル「Someone Like You」の共作者ダン・ウィルソンなど、ポップス界のヒットメイカーたちが手を貸しており、マイゼル・ブラザーズのような色気匂い立つスロウ・ファンク「Wrap Me Up In Your Love」といい、ニューオーリンズのセカンド・ラインを思わせる陽気な「Merry Merry Christmas」といい、いい意味で新曲とは感じさせない「インスタント・ヴィンテージ」な仕上がりになっている。



▲John Legend - Bring Me Love (Official Audio)


 ジョンとクリッシー・ティーゲンの第一子ルーナ・シモーンの由来となったのはニーナ・シモーン(ニーナ・シモン)。今年5月に誕生したばかりの第二子マイルズ・セオドアは、もちろんマイルズ・デイヴィスから名付けている。今後も、子供には“音楽史”に関連した名付けをするつもりだというジョンは、脈々と受け継がれるブラック・ミュージックのDNAを継承していく、ということにとても自覚的なアーティストであり――第87回アカデミー賞における授賞スピーチでジョンがニーナ・シモーンの言葉を引用したことも、その表れだ――、それゆえの「レジェンド」という姓なのだ。


写真


 ジョンが批判を覚悟で背負ったこのレジェンドというアーティスト・ネームは、本名のジョン・スティーヴンスで活動している頃、友人からジョンの音楽がいい意味で“今風”ではなく、オールドスクールであったことから「(ソウル・)レジェンドのようだ」とジョークとして言われたことに由来するニックネームだという。ジョン・レジェンドの音楽にはこれまでも一貫して先人たちへの敬意が感じられてきたが、この『A Legendary Christmas』はまさに、彼のそうした“オールドスクール”なスピリットがひと際光る。そして「レジェンダリーなクリスマス」とは、ただの「ジョン・レジェンドのクリスマス(・アルバム)」を意味するのではなく、ブラック・ミュージック史のレジェンドたちにオマージュを捧げた作品ということであり、また、新たなホリデー・アルバム・クラシックスの仲間入りを果たす、いつまでも聞かれ続けるクリスマス・アルバムになった、という自負も込められているのではないか。少なくとも、近年屈指のソウルフルなクリスマス盤の逸品と言えるだろう。

 今年4月には、ジャスティン・ビーバー「Sorry」を手がけたことで知られるブラッドポップをプロデューサーに迎えた「A Good Night」を発表し、これまでになくキャッチ―なディスコ~ファンク・ポップで新境地も見せたジョン・レジェンド。まもなく40歳になる彼がこれから築いていく新たな伝説がどういうものになるかは全く予想がつかないが、きっとジョンは、シーンの最前線に立ちながらオールドスクールな精神を持ち続けていくアーティストであり続けることだろう。



▲John Legend, BloodPop® - A Good Night ft. BloodPop®


ジョン・レジェンド「レジェンダリー・クリスマス」

レジェンダリー・クリスマス

2018/11/21 RELEASE
SICP-5927 ¥ 2,592(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.ホワット・クリスマス・ミーンズ・トゥ・ミー (feat.スティーヴィー・ワンダー・オン・ハーモニカ)
  2. 02.シルヴァー・ベルズ
  3. 03.ハヴ・ユアセルフ・ア・メリー・リトル・クリスマス (feat.エスペランサ・スポルディング)
  4. 04.ノー・プレイス・ライク・ホーム
  5. 05.ブリング・ミー・ラヴ
  6. 06.メリー・クリスマス・ベイビー/ギヴ・ラヴ・オン・クリスマス・デイ
  7. 07.クリスマス・タイム・イズ・ヒア
  8. 08.ウェイティング・フォー・クリスマス
  9. 09.パープル・スノウフレークス
  10. 10.ザ・クリスマス・ソング (チェストナッツ・ローステイング・オン・アン・オープン・ファイア)
  11. 11.プリーズ・カム・ホーム・フォー・クリスマス
  12. 12.ラップ・ミー・アップ・イン・ユア・ラヴ
  13. 13.バイ・クリスマス・イヴ
  14. 14.メリー・メリー・クリスマス
  15. 15.オー・カム、オール・イー・フェイスフル <ボーナス・トラック>
  16. 16.ノー・プレイス・ライク・ホーム (アコースティック・デモ) <ボーナス・トラック>

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