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特集:押尾コータローの原点をたずねる音楽の旅

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 アコースティック・ギター1本で、独自の音楽空間を作り出す押尾コータローは、日本ばかりでなくアジア圏でも多くのギターファンの憧憬を集める、今や世界でもトップクラスのミュージシャンとして知られている。

 そんな押尾がギタリストとしてのキャリアに向かって歩き出す原点となったアーティストがいる。1980年代後半に、ニューエイジ・ミュージックと称される新たなジャンルの中心的レーベルとして知られたウインダムヒル・レコードの主宰者にしてギタリストでもあるウィリアム・アッカーマンだ。押尾が音楽の心象表現に最も深い影響を受けたというグラミー・アーティスト ウィリアム・アッカーマンをフューチャーしたスペシャル・ライブ。彼の原点をたずね、その歩みをともに辿る珠玉のステージはファン必見。

 それぞれの色彩感豊かなソロ・パフォーマンスと、2本のギターが重なり合う奇跡の瞬間が実現する。

 <インタビュー>押尾コータロー 「アコースティックギターの可能性、音楽の素晴らしさを伝えられる、そんな1日にしたいですね」

規制概念を超えた表現方法=ボースハンド・プレイ・スタイル

 日本のアコースティック・ギター・シーンを牽引し続けてきた押尾コータロー。その類稀な演奏テクニックと、言葉を用いる事なくオーディエンスに様々な心象風景を想い描かせる表現豊かな楽曲、という両面の魅力を兼ね備えた彼の音楽は、多くのファンに愛され続けている。

 初めて押尾のステージ・パフォーマンスを目にした時、まず誰もが目を奪われ驚くのが両手を用いた特殊奏法による演奏スタイルだろう。従来なら弦を押さえる役割の左手でギターの指板を弦の上から叩くライトハンド・タッピング、右手でもボディーの表板を叩くように振りおろしながら同時に弦をピッキングするパーム奏法など、両手を極限まで駆使したBoth Hand Play Style「ボースハンド・プレイ・スタイル」は間違いなく押尾コータローというギタリストの大きな魅力にひとつだ。

 自身が折に触れ語っているように、この特殊奏法は彼が高校生の頃に出合ったマイケル・ヘッジスの音楽に衝撃を受けた事から始まっている。1980年代後半、突如、世界を席巻した「ウインダムヒル」レーベルは、ギターやピアノのソロやアコースティック楽器のアンサンブルといったインストゥルメンタル・ミュージックを基本とし、生活の中に溶け込む、やや控えめな「環境音楽」のテイストでありながら、従来からのイージーリスニングとは一線を画した各アーティストの個性と高い演奏技術も感じられる作風が共通したレーベル・カラーであり、ニューエイジ・ミュージックという呼称さえ生む程に瞬く間に浸透した。ウインダムヒル草創期からの所属アーティストで看板ギタリストだったマイケル・ヘッジスによって編み出されたボースハンド・プレイ・スタイルは、当時の押尾少年はもとより プロ・ギタリストにさえ衝撃を与える規制概念を超えた表現方法と言えるものだった。すでにアコースティック・ギターのソロ・パフォーマンスに傾倒していた押尾は、マイケルの来日時に行われたギター・セミナーに参加した折に、ハープギター(通常の6弦ギターの低音弦側の横に重低音を奏でる複数本の弦を配置したダブルネックギターのような特殊な楽器)で作曲されたマイケルのオリジナル曲「Because it there」を通常の6弦ギターにリ・アレンジし本人の前で演奏し、驚かせた逸話も残している。

 それ程衝撃的だったマイケル・ヘッジスの特殊奏法をコピーする事から始まり、自作曲を書きパフォーマンスを重ね、その奏法をも消化し自己のスタイルに反映さる歩みを経て行く中で、現在の押尾コータローの演奏スタイルは確立されている。

 このように、押尾がギター・ミュージックに傾倒してゆくターニングポイントとなったのがマイケル・ヘッジスとウインダムヒル・レーベルだ。ウインダムヒル・レーベルは創始者ウィリアム・アッカーマンが自主制作レコードをリリースすべく、友人たちから5ドルずつのサポートを集め立ち上げたインディペンデント・レーベルから始まっている。アメリカ西海岸カリフォルニア、サンフランシスコ・ベイエリアのパロアルトで、ウインダムヒル・ビルダーズなる大工作業を営む傍ら舞台の劇中に使用される楽曲をギターで作る活動の中、それらを1枚のアルバムに作品として残そう、というのがウインダムヒル・レーベルの立ち上げであり、最初のアルバムとなったのがウィルの自作曲を集めた「In Search of the Turtle’s Navel」だ。その後、従弟でギタリストのアレックス・デ・グラッシ、ピアニストのジョージ・ウインストンなどアーティストが集う中、ウインダムヒルは一大レーベルへと成長し広く知られる音楽集団となっていった。丁度、レコードからCDへメディアが移行する最中の時期で、ジャケットの風景写真を基調とした一見してそれとわかる統一された独自のイメージも、彼らの音楽が多くの人が手にした理由のひとつだろう。押尾いわく「ジャケ買いしてもハズレの無い音楽」との好印象から、ウインダムヒル・アーティストの作品を積極的に聞いていたという。



▲ 「ナユタ」MV


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ウインダムヒルから受けた影響は、現在の押尾コータローに続く道の始まり

 カントリー、ブルーグラス、ブルースなど従来のギター音楽は、リスナーの殆どがギターを弾く愛好家であり、演奏テクニックの難易度への関心とそれらをコピーする目的で接する傾向の多い比較的マニアックな分野だった。優れた演奏技術を持つウインダムヒルのアーティスト達へもこれらの愛好家による支持も無い訳ではなかったが、日本ではレーベルを代表するピアニスト、ジョージ・ウインストンの「あこがれ、愛」やウィリアム・アッカーマンの「Visiting」がCMに起用され日常で広く聞かれる中、彼らの日本でのライブ・ツアーは楽器を演奏しないリスナーをも多く集める規模で展開され、その大衆性はウインダムヒルの大きな魅力となった。

 アコースティック・ギター・ミュージックでは本来の生音をいかにリアルにレコーディングするかという視点で作品が作られるが、ウインダムヒルではコーラスやデジタル・リバーブといったエフェクターを大胆に使用し今までになかった空間感溢れる新たなサウンドを構築し、以降のアコースティック・ギターでのサウンドメイキングの指針となっている。

 押尾のレコーディングやライブでも特徴的な漂うような空間感に溢れた美しいサウンドにも、彼が傾倒したマイケルやウィルのギターに大きく影響を受けている事が伺える。

 冒頭で触れた通り、押尾コータローのギター・ミュージックの魅力のひとつは言葉以上に情感と風景を伝える力だ。なつかしい風景や穏やかな感情を思い起こさせる曲だったり、また(接して鼓舞する強さではなく)背中を押すように気持ちを上向かせる力を持つ音であったりと、リスナーの必要とする思いに寄り添う楽曲が支持され続けている理由なのではないかと思う。

 ギター・ソロで情景を表現するうえで、押尾コータローが憧れ、また最も影響を受けたのがウィリアム・アッカーマンだという。ウィルの曲はギターマニア的には表面上ではあるがコピーして演奏するには押尾やマイケル・ヘッジスほどに困難ではない。シンプルながら自然と心に溶け込むメロディと音の間が作り出す空間感は、多くのオーディエンスを魅了する。絵画的とも称される事の多いウィルの代表曲のひとつ「ブリックレイヤー家の美しい娘」などでは、タイトルを知らずに同曲を聞いた際に花畑や草原に立つ少女の後ろ姿を思い描いた、という話を何人かに聞いた事があり、押尾も同様の話をしていた。

 表現の限界を押し広げる超絶とも言える演奏テクニックへ向かうきっかけをマイケル・ヘッジスから得て、同時にウィリアム・アッカーマンの絵画的な表現を感じさせる楽曲にも大いに憧れた、というギター少年だった彼がウインダムヒルから受けた影響は、現在の押尾コータローに続く道の始まりだった事が伺える。

 あきれる程に高い演奏技術によって描かれている押尾のギター・ミュージックだが、それ以上にリスナーの感情を連れて行く魅力ある心象表現の源こそがウィリアム・アッカーマンなのだ。

 ウィルが2016年9月に奈良で開催された春日野音楽祭に招聘された際、日本での共演者として押尾が共にステージに立ち、春日大社での奉納演奏を行った。ウィルとの共演を押尾に打診した際、普段穏やかで控えめな彼が「自分以外には考えらえない」と快諾してくれた事からも、彼のウィルへの強い想いがうかがい知れる。

 前回は限られたオーディエンスだけしか体感できなかった彼らの共演が、2年の時を経てビルボードライブ大阪とビルボードライブ東京で再度実現する。

 日本を代表するギタリスト押尾コータローと、彼の音楽を心の奥で支えてきたグラミー・アーティスト、ウィリアム・アッカーマンの共演。押尾の原点をたずね、その歩みを確かめながら辿る珠玉のステージはファン必見。

 それぞれの色彩感豊かなソロ・パフォーマンスと、2本のギターが重なり合う瞬間をお見逃しなく。



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