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特集:LITTLE CREATURES~目まぐるしく変化し続ける個性派バンド

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 日本の音楽シーンを見渡して、リトル・クリーチャーズほど異質なアーティストはいないかもしれない。結成して30年の間、メンバーは変わらないのに音楽性は目まぐるしく変化する。しかも、忘れた頃にリリースやライヴを行うこともあり、ずっと追いかけ続けるのが困難。にもかかわらず多くのミュージシャンからリスペクトされ、オファーも多く、それぞれの課外活動は膨大で数え切れないほど多忙だ。そんな彼らが、久しぶりにビルボードライブでの公演を行うことが決定した。この機会に、世にも不思議な立ち位置の個性的なバンドについて、少し振り返ってみたい。

CD
▲『LITTLE CREATURES』

 トーキング・ヘッズのアルバム・タイトルからバンド名を拝借したというリトル・クリーチャーズは、1987年に結成。和光高校の同級生だった、青柳拓次(ヴォーカル&ギター)、鈴木正人(ベース)、栗原務(ドラムス)という3人で構成されており、その後も入れ替わりは一切ない。1990年に名物テレビ番組『三宅裕司のいかすバンド天国』(通称:イカ天)に出演。5週連続で勝ち残り、5代目グランドイカ天キングとなった。このことがきっかけで各社からオファーがあり、ミディレコードからデビューが決定する。

 1990年の11月にシングル「THINGS TO HIDE」とファースト・ミニ・アルバム『Little Creatures』をリリース。全編英語詞ということで話題を呼ぶ。翌1991年初頭には、新宿日清パワーステーションにて初のワンマン・ライヴを成功させた。3月には初のフル・アルバム『VISITA』を発表。ロサンゼルスでレコーディングされた本作は、アコースティックなバンド・アンサンブルを主軸に、ソウル、アイリッシュ、ネオアコなどのエッセンスを取り入れた趣味性の高いサウンドで、音楽マニアを唸らせた。続く1992年にはセカンド・アルバム『NO VOTE NO VOICE』をリリース。ラテンやアフリカンといったワールド・ミュージック的要素も取り入れた野心作だった。

CD
▲『meets future aliens』

 その後も、ジャズをモチーフにした『GIANTS ARE DYING』(1993年)、再びワールド・ミュージック色を濃くしてシンガポール録音された『WEATHER BOUND』(1995年)と、立て続けにミニ・アルバムを発表。1997年には5年ぶりのフル・アルバム『little creatures meets future aliens』をリリースする。ロンドンでレコーディングされた本作は、当時のクラブ・ミュージックに多大な影響を受けており、バンド編成にこだわらない自由な発想で、斬新なサウンドを作り出していた。かと思えば、1999年には中山美穂のミニ・アルバム『manifesto』をバンドでプロデュース。この時のツアーにも帯同するなど、これまでにない活動を行った。その後、初のベスト・アルバム『RADIO COLLECTIVE』を発表し、リトル・クリーチャーズはいったん区切りを迎えることとなった。

CD
▲『FUTURE SHOCKING
PINK』

 2000年には、自分たちのレーベル「chordiary」を立ち上げ、同名タイトルのミニ・アルバムをリリースして始動。ここからバンドとしての第2章が始まる。2001年には4枚目のアルバム『FUTURE SHOCKING PINK』をリリース。バンド・サウンドだけにこだわらず、エレクトロやポスト・ロックの要素も多分に盛り込んだ意欲作となった。2005年には5枚目のアルバム『NIGHT PEOPLE』を発表。緻密に作り込んだ前作の反動からか、8トラックのレコーディングにこだわり、どこかフュージョンを思わせるクールな作品となった。また、鈴木がいっさいベースを弾かないなど、思い切ったトライを行ったアルバムでもある。



▲ 「The Sand Cage」MV


CD
▲『LOVE TRIO』

 2010年には6枚目のアルバム『LOVE TRIO』をリリース。原点回帰とも捉えられるロック色の強い内容で、シンセサイザーを大胆にフィーチャーするなど今までにないほどのエモーショナルなテイストに仕上がった。また、デビュー20周年を記念したベスト・アルバム『OMEGA HITS!!!』も同時発売されている。翌2011年にはトリビュート・アルバム『Re:TTLE CREATURES』をリリース。コーネリアス、UA、くるり、ハナレグミといった個性派ミュージシャンが大挙して参加。クリーチャーズがミュージシャンズ・ミュージシャンであることを改めて思い知らされる作品となった。

 2016年になると、7枚目『未知のアルバム』を発表。こちらは一発録りをメインにしたシンプルな作りになっており、彼らの作品でもっともバンド感が出たアルバムかもしれない。そしてなによりも変化したのは、日本語詞がメインになっていることだ。青柳自身はソロで日本語詞を積極的に取り入れてきたため、それほど違和感はない。ただ、バンドとして英語詞でしか歌ってこなかったリトル・クリーチャーズが、自然に日本語へとシフトしていったことは非常に興味深い。これは彼らが新しいステージへと向かった証なのかもしれない。



▲ 「HOUSE OF PIANO」(Live)


 ここでは省略したが、他にもメンバーそれぞれのソロ・ワークやサポート・ワークを挙げていくと、紹介しきれないほどの膨大なリストが出来上がるだろう。しかし、その中核にはつねにリトル・クリーチャーズが存在し、しかもひとつの枠にはまるのではなく、アメーバのようにいろんなものを吸収しながら広がっているのだ。今回のビルボードライブも、ゲストにクラムボンの原田郁子を迎えるというスペシャルな内容になっている。彼らのコラボレーションがどのようになるのか、そして、リトル・クリーチャーズが、ライヴでどのような化学変化を起こすのかをその目と耳で確かめてもらいたい。



▲ 「声なき者」MV


 

Little Creatures「未知のアルバム」

未知のアルバム

2016/07/13 RELEASE
TCCL-1 ¥ 2,700(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.海原
  2. 02.未知の世界
  3. 03.夢ならば
  4. 04.絡めとられて
  5. 05.かんちがい
  6. 06.声なき者
  7. 07.月の顔
  8. 08.嘘の朝
  9. 09.赤いスカート
  10. 10.隼飛ぶ
  11. 11.わずかばかり

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